2019年3月14日

【導入事例】「板書が減ると、生徒の表情がよく見える」スライド教材主体の授業とは

更新日:2023年1月12日

導入先:学校法人武蔵野東学園 武蔵野東中学校 様
導入製品: ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード」、ホワイトボード

目次

  1. 発信力を身に付けるためには、双方向の授業が不可欠
  2. 過去には移動式電子黒板を利用していた。工期の短さ、工事の柔軟さも決め手に
  3. 受け身ではない、双方向の授業
  4. 教材の具体的な使用方法
  5. 教材は受け継がれていく
  6. 意識が変わった。授業が変わった
  7. 関連

「リコーダーを持つ中学生男子、なかなか頑張っている感じがしませんか?」
そう言って目尻のしわを深くする林教頭先生から、生徒さんへの愛が伝わってきました。先生と生徒の仲の良さが自然と伝わってきます。
なぜリコーダーを持つ中学生男子とよくすれ違うのかと言うと、実は取材に伺った日は、偶然にも武蔵野東小学校・中学校が合同で行う「発表会」の前日でした。武蔵野東学園は情操教育に力を入れており、一年間の体育や音楽の成果の発表の場として、校内を飛び出し本格的な舞台である府中芸術の森劇場のステージに立つのだそうです。期待と緊張が入り混じった空気感の中、取材を行いました。

同学園の最大の特色は、健常児と自閉症児の共学体制『混合教育』です。カリキュラムやクラスは異なりますが、学校生活全般が『混合教育』の場であり、健常児にとっては「心の教育」の実践となり、自閉症児にとっては社会自立に向けてのよい刺激となっています。取材当日も一緒に授業を受けている様子を拝見しました。隣席のよしみで、分からない部分があればすぐ互いに話して解決に努めている光景が印象的でした。
また、着心地の良さそうな校内ユニフォームに身を包む生徒が大多数であることに気が付きます。聞くと、日中は制服ではなく校内ユニフォームで過ごすのだそう。片側の壁が全面窓の開放的な教室とも相まって、のびのびとした校風が伝わってきました。

発信力を身に付けるためには、双方向の授業が不可欠

プロジェクター「ワイード」の活用状況をお話してくれたのは、林教頭先生(写真左)と、理科担当の佐竹先生(写真右)です。

全ての生徒が学習内容への理解を深められるよう、双方向の授業の実践を常に心がけている同校。林教頭先生は次のように話します。「探究したことをまとめて終わり、ではなく、訴求力のある『発信』まで行ってこそ、学びが深まります。誰かのために学ぶ、いわゆる『社会貢献』という視点がこれからの学びには不可欠です」

世のICT教育の推進と比例して、学校では双方向の授業の実現のための試行錯誤が行われています。

教師が一方的に話して終わる授業では、生徒は理解することはできても行動に移すステップがありません。発信力を育てる機会を奪ってしまいます。発信力や主体性をはぐくむために、生徒がアウトプットする時間を設けることは緊急課題でした。

過去には移動式電子黒板を利用していた。工期の短さ、工事の柔軟さも決め手に

約9年前に2台の移動式電子黒板が導入されました。しかし準備の手間が敵となって立ちはだかります。同校の休み時間は5分。正直、先生方はかなり慌ただしい準備が強いられてしまいます。生徒の質問に応えていると、5分なんてあっという間です。

教室間をゴロゴロと移動させて、パソコンを起動させてちゃんと映っているか確認して。その一連の準備に、急いでも5分はかかると言います。結局、2台しか無いこともあり、40人いる先生のうち移動式電子黒板を使っているのは、限られた人だけでした。

このような移動の問題を解決できること、工期が短くコストパフォーマンスに優れていること、そして生徒にとって見やすいことの3つのポイントをクリアしていたICT機器がワイードでした。教室に備え付けのワイードは接続と起動に1分も掛かりません。

【黒板上部にすぐ梁があり、本来の設置位置への取付ができない教室構造でしたが、
取付位置の再計算と画角補正機能により対応しました】
【専用のコネクターボックスを設置したことで、黒板まわりがすっきりしました】

受け身ではない、双方向の授業

疑問に思うのではないでしょうか。本当に、ICT機器の導入が生徒の発信力を育てる礎になるのかと。
導入から約5か月を経た今、林教頭先生は「導入前と比べて生徒のプレゼンテーションが格段にうまくなった」と実感を語ります。「プレゼンの際にワイードを使用することで、視覚に任せる部分が増えたことが、より『発信したいこと』の主張につながったのでは」と見解を話してくれました。

視覚、というキーワードが出てきましたが、同校ではワイードと同時にホワイトボードの貼替も行っています。黒板ではなくホワイトボードを選んだのも、資料提示の道具という側面を重視したからだそう。より映像が見やすくなることを第一に考えられていることが分かります。

【佐竹先生の授業はスライドがメイン。補足説明の際にだけマーカーで板書を行う】

実際、拝見した佐竹先生の理科の授業は、ホワイトボードに投影されたスライド資料を基盤に組み立てられており、板書時間はほんの少しでした。ポイントをたまに板書するスタイルだからこそ、生徒は書き込まれた内容に目を凝らすのかもしれません。授業の準備をすればするだけ本番は充実します。発表会の練習と根本は同じであるように思えました。

教材の具体的な使用方法

佐竹先生オリジナルの教材は、あらかじめ16:6比で作られています。
これまでに自分で蓄積してきた教材が4:3比のスライドだったので、16:6のスペースにちょうど2枚収めることができます。ワイードに最適化した教材を作るのに時間はかかりませんでした。他の先生方もそうですが、教材づくりに最も手間と時間を要するのでそこが時短できる事に一番意味があります」と説明します。また、デジタル教材はいつでも改変できるうえ、デバイスさえあればどこででも見ることができる点が便利ですね。

まず右側に図や画像を現したスライドを提示し、説明を終えるとそのスライドを左側に移動させます。そして空いた右側のスペースに次のスライドを出現させます。

授業を進行しても直前の説明が消えずに残っているため、生徒のペースを乱すことがありません」と佐竹先生。全員がホワイトボードに提示された教材の内容をノートに取れるように、先生が編み出した配慮のかたちでもあることが分かります。書くのがゆっくりな生徒は焦ることなくノートを取ることができ、逆に書くのが得意な生徒は授業時間内で復習ができますね。

ワイヤレスポインターを使い現在位置を指し示したり、

拡大鏡機能で要点に注目を集めたり。

実験や観察を始める前の説明の際に、写真や図・動画の教材が多く使われていました。同校の理科の授業では、中学3年間で80回以上の実験や観察を行っているそうです。

言葉のみでは記憶に定着しづらい事柄も、視覚に訴えかける図解や体験で鮮烈に刻み込まれることは皆様ご存じのはずです。その場を乗り切ることと、知識を自分のものにすることとは違います。やはり、自らの手を動かして図を書き、納得した事は思い出しやすくなりますよね。

佐竹先生は「モーターが回転している様子は静止画でなく動画で見せたい。例えば、スマホで撮影した動画をPCに取り込めば、あっという間に貴重な教材に早変わりです。一時停止して、マーカーで矢印や文字を書き込むことも簡単にできます。iPhoneのスローモーション再生機能を使い、目で追えない動きの詳細を見せることもある」と話します。

写真や図・動画をうまく使い、生徒は理解しやすく、教師は説明しやすくなる工夫が随所に見られました。

【笑顔溢れるグループ学習。生徒が皆、興味を持って取り組んでいる様子が印象的でした】

教材は受け継がれていく

今後は、同教科担当の先生同士での教材共有がよりさかんになりそうです。「来年はワイードを導入して1年が経ち、各教科、今年1年生の授業で使った教材を来年入学してくる1年生の授業で利用することも可能なわけです」と佐竹先生は期待を込めます。そのタスキの受け渡しによって、ますます生徒との対面時間は増え、双方向の授業に直結していくことでしょう。

意識が変わった。授業が変わった

「ワイードの導入によって、まずは先生たちの意識が大きく変わったと感じています。ワイードによって提示された教材を介して『考える』活動、そして双方向の授業が増えました。いわゆる『板書計画』を立てて黒板に書く、生徒が書き写す、という活動の時間が最小限になり、授業にスピード感がもたらされています。『ノート』の役割も変化するでしょう。来年度以降本格的に教育用PCが整備されれば、さらにその変化は顕著になるはずです」(林教頭先生)

放課後には科学研究同好会の活動で、ロボットを使ったプログラミング教育の様子を見せて頂きました。PCで組み立てたプログラムを元に、目の前にあるロボットが自在に動き回ります。

【床を動き回るロボット。進行方向やLEDの発光パターンをプログラミングできる】

来年度は教育用PCとしてChromebookの導入を予定しているとの事で、「全ての生徒がITリテラシーを獲得すること、そしてそのスキルを用いた『新しい学び』の深まりが今後さらに進んでいくことを期待しています」と林教頭先生は次なる革命の第一歩について語ってくれました。

佐竹先生は授業中、はじめてその知識を吸収している生徒の表情を見逃すまいと教室の通路をゆっくり歩き、理解の具合をよく問いかけていました。効率的な授業展開が可能になったことで伝わる速度が増し、先生が生徒と向き合う時間も増えました。一方で生徒は、得た知識を発信したり友人の考えと擦り合わせる機会を持つことで、学びの幅が広がっていく。新しい学びはすぐそこにやってきています。


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製品詳細名称:ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード」
・機能と特徴ページ
・地域別の導入実績ページ
カタログ・資料全国の小中学校・高等学校を中心に約10,000台導入。黒板いっぱいに映せるウルトラワイドなプロジェクター「ワイード」のカタログやお役立ち資料はこちら
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