更新日:2024年3月29日
昨今、さまざまな領域でデジタル化、ICTの活用が叫ばれており、教育業界も例外ではありません。教育におけるICTの活用として注目されているものの一つに、電子黒板があります。電子黒板をうまく授業に取り入れることができれば、高い学習効果が期待できます。
本記事では、電子黒板とは何か、どのように活用するのかについて解説します。電子黒板の種類や選び方、実際の活用方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
電子黒板とは何か
電子黒板とは、パソコンの画面を投影したり、書き込みできたりする黒板のことです。モニターに文字や図形などを書き、それらをデジタル変換することも可能です。
電子黒板を利用することで、黒板やホワイトボードではできなかったさまざまなことが可能になります。例えば、パソコンで用意した画像に直接書き込んだり拡大して見せたりできるほか、電子黒板で書いたものをデータとして取り込み、保存しておくことも可能です。また、スピーカーを用意すれば、動画を授業に取り入れることも容易になるでしょう。電子黒板を活用することで、授業でできることの幅が広がります。
学校における電子黒板の普及状況
学校でどれくらい電子黒板が普及しているかを見てみましょう。文部科学省が実施した調査で、電子黒板を含む大型提示装置の普通教室における整備率が発表されています。この調査によると、令和3年3月時点で、70.3%の整備率となっています。平成31年3月時点では52.2%、令和2年3月には60.0%となっており、年々普及が拡大していることが分かります。
都道府県別に見てみると、最も低いのは29.6%ですが、60~80%の整備率となっている都道府県がほとんどです。最高は91.9%となっています。※注1
※注1 出典:文部科学省「度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」
https://www.mext.go.jp/content/20210827-mxt_jogai01-000017383_08.pdf
電子黒板の主な機能
電子黒板ではどのようなことができるのでしょうか。電子黒板の主な機能を3つ紹介します。
主な機能1. 画像や動画の投影
電子黒板の機能として、まず画像や動画が投影できることが挙げられます。パソコンなどを接続することで、パソコンの画面をそのまま大きな画面で投影できます。これまで教室でよく使われてきた、いわゆるプロジェクターのような用途です。プロジェクターやテレビと異なり、直感的に拡大・縮小などが可能であることが電子黒板の特徴です。
パソコンで用意したものを投影できるため、より自由度の高い、分かりやすい授業になるでしょう。また動画や画像を有効に使えば、生徒の興味・関心を高められます。
主な機能2. 文字の書き込み
2つ目の機能は、電子黒板に書き込みができることです。黒板やホワイトボードと同様の使い方ができます。特に、投影した画像などに直接書き込みができることは電子黒板の特徴です。ペンの形状や色が豊富に用意されている電子黒板も多く、うまく活用することで視覚的に理解を深められます。
また、生徒にもデジタルツールを利用してもらうことで、生徒の書いたものをそのまま電子黒板に投影することもできます。発表がより活発にできるようになることで、これまで以上にインタラクティブな授業が可能になるでしょう。
主な機能3. データの保存
3つ目は、電子黒板で書いたもの、投影したものをデータとして保存できる点です。黒板やホワイトボードでは、生徒は教師が書いた板書を書き写さなければ授業の振り返りができませんでした。また、板書量が多くなると負担も増え、それだけ時間もかかってしまいます。
板書データを保存することで、例えば次回の授業で保存データを呼び出して復習をしたり、データをプリントアウトして生徒に配布したりができます。授業をそのまま振り返ることができるため、学習効果の向上も期待できるのではないでしょうか。
電子黒板の種類と比較
電子黒板には大きく3つの種類があります。それぞれの電子黒板の特徴を見てみましょう。
1. ディスプレイ型(テレビ型)<電子黒板機能付き>
1つ目はディスプレイ型です。テレビ型とも呼ばれるように、電子黒板の機能が付いたテレビのようなものです。基本的にはスタンドが付いており、移動が可能です。スライド設置や壁掛け設置のものもあります。テレビやパソコンなどを使い慣れている方にはなじみやすい種類です。
画質が良いのもディスプレイ型の特徴です。後述するプロジェクター型と比較すると画質が良く、写真や動画もはっきりと見ることができるでしょう。最近のディスプレイ型電子黒板には、4K画質のものが増えています。
ディスプレイ型のデメリットとしては、場所の確保が挙げられます。電子黒板を常用するのであれば問題ないですが、限られた授業でしか使わないなどの場合には置き場所の確保や収納をどうするのかなどの検討が必要です。
2. プロジェクター型<電子黒板機能付き>
2つ目は、電子黒板機能が付いたプロジェクターです。黒板や壁など、スクリーンに投影することで利用します。ディスプレイ型に比べ、コンパクトで場所を取らないのがプロジェクター型の利点であるといえるでしょう。備え付けるタイプや使うときだけ持ち出せるタイプなど、さまざまです。
プロジェクターというと、画質が荒く、見づらいといったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。最近のプロジェクターは、従来のランプ交換型からLEDやレーザー光源を採用した型に変化しており、より鮮明な画質で見ることができます。ただし、ある程度教室内を暗くした方がやはり見やすくなります。動画を見る際などはカーテンを閉める、電気を消すなどの工夫が必要でしょう。
3. ディスプレイ型(テレビ型)<電子黒板機能なし>
書き込みをすることのできない、電子黒板機能なしのディスプレイ型のモニターもあります。いわゆる大型提示装置と呼ばれるものです。黒板やホワイトボードのような使い方はできませんが、資料や教材、動画を見せることができます。黒板やホワイトボードと合わせて使う、補助的な使い方がメインになるでしょう。
形状は電子黒板機能が付いたディスプレイ型と同様のものが多く、スタンドで自立させたり、スライドレールを用いてスライドさせたり、壁に掛けたりして利用できます。
電子黒板の選び方
電子黒板を導入する大きなメリットは、授業でできることが増えることです。授業活動の幅が広がることで、学習効果が高まることも期待できるでしょう。そのため、電子黒板を選ぶ際には、どのように活用したいのかを考えることが重要です。前述した電子黒板の種類だけでなく、細かな機能も含めしっかり見て、想定通りに使えるのかを考える必要があります。
また、使いやすさも重要なチェックポイントです。電子黒板は、1人だけでなく多くの教師が使うことが想定されます。デジタルツールに慣れた教師以外にも、あまりなじみのない人が使うこともあるでしょう。場合によっては生徒が使うことも考えられます。直感的に操作できる、簡単に電源や接続ができるといった点も重要です。
電子黒板を選ぶ際には、画面サイズや画質も確認してください。教室の広さや用途にもよりますが、一般に20~30人ほどの教室では65型、30〜40人ほどの教室の場合には75型〜86型あたりが目安です。教室の後ろからもはっきりと見えるものを選ぶのが理想です。
学校における電子黒板の活用例
では実際に、学校で電子黒板はどのように活用されているのでしょうか。
電子黒板を使った算数(数学)の図形の授業では、実際に図形を動かすことで点や線がどのように移動しているのかを視覚的に理解させるといった場面で活用されています。また、図形の展開図問題でも、実際に図に触れたり、立体を作ったりすることで理解を深めます。図を動かすことができる電子黒板ならではの授業です。
実技を伴う授業では、教師のやり方を投影しながら実際に見せたり、撮影した生徒の動きを見せて確認させたりすることにも活用できます。例えば、家庭科の裁縫の授業で、教師が手元を見せながら縫い方のポイントを教えることができます。体育の跳び箱など器械運動の授業では、生徒の動きを撮影し、それを自身で確認することで動きのポイントをチェックすることに使われています。
このほか、さまざまな授業で教科書を投影しマーカーを引くことでポイントを確認したり、複数生徒の回答を映し出して考え方を議論したり、写真や図形に直接書き込むことで視覚的な理解を促したりなどのように活用されています。
まとめ
本記事では電子黒板について、機能や種類、選び方、活用例を紹介しました。電子黒板では、画像や動画を見せたり、自由に書き込みをしたりができます。授業にうまく取り入れることで、より活発な授業ができるようになるでしょう。
最近では、ディスプレイ型(テレビ)型の取り付け方法が多様化しています。これまでは、日本の教室の狭さや教壇がある関係でディスプレイ型を置ける場所が限定され、教室の隅に斜めにスタンド設置されることが一般的でした。しかしそれでは、電子黒板から対角の席の児童・生徒が見づらいという問題がありました。
その問題を解決するのが、スライドレールを使った取り付け方法です。黒板(ホワイトボード)の上下の壁面に設置したスライドレールによって、電子黒板が左右にスライドします。
スライド設置であれば、スタンドを必要とせず、足元スッキリ・省スペースで設置できることがメリットです。教壇の有無に関係なく、教室前方の中央で大画面電子黒板が使えるため、授業の効率が上がることが期待できます。
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